「本籍地はむやみに動かさないほうが良い」という私見

いきなり免責

  • 私、法律の専門家でもなんでもないので、間違っていてもなんの責任も当然とれません
  • 参考にするのはいいけど自己責任でお願いします

私見的結論

  • 本籍地を動かすのは必要最低限にしとくのが良い

戸籍にまつわるよもやま

戸籍の請求

  • 必要な戸籍の所轄市区町村区役所もしくはその支所で請求
    • 現住所と同じとは限らない
  • 大抵の自治体で郵送でも請求できる
  • 郵送での請求は費用を定額小為替で同封して請求するところがほとんどの模様

戸籍が変わるイベント

  • 出生
  • 結婚
  • 離婚
  • 死亡
  • 法律改正
  • 転籍
    • 自己都合で本籍地を変更する場合

戸籍が必要になるイベント

  • いろいろあるけど、大抵のケースで必要になるのは最新の戸籍だけ
  • 最新以外の戸籍が必要になるほぼ唯一のケースが相続
    • 相続では被相続人(つまり死んだ人)の「出生から死亡までの連続した戸籍すべて」が必要になる
      • 金融機関やら、法務局(不動産相続があって登記変更する場合)に見せる必要がある
        • 「見せる」と書いたのは「提出してもたいていコピーをとって返してもらえるから
        • だからといって、コピーを持っていくのは NG

「出生から死亡までの連続した戸籍すべて」

「出生から死亡までの連続した戸籍すべて」とは

死亡時の戸籍はまぁわかるとして、 出生時の戸籍ってのは生年月日がわかればいいという話ではなく 出生を届け出てそれにより登録された最初の戸籍が必要です。 途中の戸籍になんとなく生年月日とか書いてあって思わせぶりだけどそれだけじゃだめです。 出生から死亡まで途中の戸籍関係のイベント結婚、離婚、転籍、…など全ての段階の戸籍が必要です、 これが「出生から死亡までの連続した戸籍すべて」。

で、

  • 出生時は通常両親の戸籍に入っているはず
  • 結婚時にそこから抜けてるはず
  • 死亡時の戸籍ってのは要は最新の戸籍なので最新の本籍地で取得できるはず

↑これだけで済めば簡単な話ですが…

  • 法律が改正されると戸籍が新しくなる(改製される)
    • 相続時は改製前の戸籍(改製原戸籍)も必要になる
    • 直近では昭和30年代と平成10年代に改製があった模様 (法改正から各自治体が戸籍を改製するまでにはバラツキがある)
  • 転籍してる場合は転籍元も辿らないといけない
  • 途中結婚してる場合は結婚前のものも必要

と。

「出生から死亡までの連続した戸籍すべて」の取得方法

「とてもじゃないけど移動が無理」 というケースを除いて、 郵送請求ではなく役所に行った方が話が早いです。

  • 「出生から死亡までの連続した戸籍すべて」ですが、 実際には「最新の死亡時の戸籍から古い方へ遡って出生まで辿っていく」ことになります
  • 結婚・離婚・転籍などがないとしても「法律改正」による「戸籍の改製」が途中で発生していることがあり、 その場合、1つの役所に対して複数の戸籍を請求する必要があります
  • しかし、個人情報保護の観点から、ある役所に被相続人の戸籍がいくつあるかは、電話等の問い合わせでは教えてもらえません
    • いまほど個人情報保護がさけばれていなかったころはできたらしい
  • なので、郵送請求の場合は「一通取り寄せて、次に遡ってまた請求する」というのを延々繰り返す必要があり、 そのたびに封筒やら切手やら定額小為替やらを用意する必要があります
    • まとめて請求できるところもありますが、その場合も何通で手数料がいくらになるか事前にはわからないので、定額小為替を多めに送って戻してもらうとか面倒なことになります
  • 一方で役所に訪れて「相続手続きのため○○の載っている戸籍をすべて」と伝えれば全部まとめて出してくれて精算も簡単
    • 請求書の請求目的欄に「相続」という項目がある自治体もありますが、なくても窓口で「相続で使うのでここで取れるものをすべて」と伝えればOK

というわけで具体的な手順としては、

  1. 死亡時の本籍地市区町村役所に行き「相続手続きのため○○の載っている戸籍のうちここで取得できるすべて」を請求する
  2. 取得した一番古い戸籍を見てその前がどこかを調べる。 その人の欄にその前はどこから来ているかが書かれているはず。 もし自信がなければ or 見ても分からなければ、 役所側も慣れてるので貰った時に「出生まで遡るんですが、次はどこに行けばいいですか?」と聞けばOK
  3. 出生を届け出たことにより戸籍に入ったことが書かれているところまで遡れたら終了
  4. 次の市区町村役所に行き「相続手続きのため○○の載っている戸籍のうちここで取得できるすべて」を請求する
  5. 2 に戻る

なので、本籍地が変わっていればいるほど、2〜5のループを繰り返さないといけなくなります。

まぁ、被相続人(亡くなった方)の本籍地の変遷が、 手続者が知ってる範囲なら予定も組めるんですが、 「取ってみないと分からない」だと予定が組めないですし、 いざ行って取ってみたら「え、こんなところに本籍地置いてたことあるなんて聞いてない…」ってことがないとも言えないので、 そこらへんは個々の事情を鑑みて郵送請求も検討すればいいと思います。

本籍地は…

  • 結婚しても出生時の本籍地から動かさないでおけば、自分が死んだときに相続人がラクをできる
    • まぁ、結婚の場合、夫婦ともに同じ本籍所在自治体というケース以外では、夫婦のどちらかは動かざるをえないわけですが
  • 「最新の戸籍の請求が簡単になるから…」と引っ越しのたびとかに本籍地を変えないほうがいい
    • 最新の戸籍なんて郵便一発で請求できる

「自分が死んじまったあとの面倒なんて知らねーよ」 というのも一つの考え方かとは思いますが、 遺族ってのはその時期は気持ち的にも手続き等々的にも落ち着かない時期なので、 少しでもラクに済むならその方がいいはず。

その他、雑多な話

  • 相続関連で相続開始(≒死亡)からの期限があるのは下記
    • 3ヶ月
    • 4ヶ月
      • 被相続人の確定申告
        • 被相続人が死亡時に未申告の収入があった場合 (給与所得やら、不動産収入など)
    • 10ヶ月
    • 「借金ない」「生前、確定申告が必要な所得とかなかった」「相続税控除されるくらいの遺産額」ということであれば、手続きを慌てる必要は実はない
    • 逆に「借金やローンが残ってる」「まだ働いてた (給与収入、事業収入があった)」「家賃収入などがあった」「遺産額が控除限度額(3000万円+(600万×相続人人数))を超えるかもしれない」ってときは四十九日より前に動き始めた方がよさげ
  • 相続時の戸籍は一揃えあればOK
    • 金融機関の数だけ必要とかいうことはない (向こうでコピー取って返してくれるはず (コピーを持参するのは NG))
    • 複数の相続人が同時に複数の金融機関に手続きに行くとかなら話は別ですが…
  • 司法書士などは不動産相続による登記変更を伴う場合、職権による戸籍請求ができるらしい
    • 登記変更がない場合はいちいち委任状が必要になる?
  • 役所は 8:30 からやっているところが多い
    • 9:00 からだと思ってる人が多いので、9:00前に行くと比較的空いてる事が多い